比べてわかる価値もある

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     夕刊でコンサートを知り昨日聴きにゆきました。日増しに重い腰、なだめ

    すかして、とにかく家を出よう、行くか行かないかは途中の気分次第と、まずは

    ヤンイーの本を借り換えようと図書館、あいや〜休館かい、しかたない返本だけ

    して、TUTAYAにDVDを返却して、その足で古着屋ZIRA。Dr.マーチンの靴が

    いい、オールドコーチのバッグもいい、2つ買えば2万円、でもな靴箱満杯

    だしバッグだって不要不急のもんだ、と後ろ髪引かれつつ店を出る。

     

     小腹が減った、回転な寿司をつまみつつ、コンサートに行ったもんかどうか。

    演目はモーツァルトのレクイエムだ。場所は東京オペラシティ、初台にある。

    新宿か〜、面倒だな、大嫌いな渋谷駅、東横線からJRに乗り換えるのになんで

    こんなに歩かにゃいかんのだ、が嫌いな理由。とはいえ、ここらで聴いとか

    ならんだろ、根拠のない切迫感、値段もS席5000円と適価だし。レクイエムは

    オーケストラに4人の独唱者と合唱団の三点セットだから、そうそう機会は

    ないだろ・・・・・・・・・なんだかんだで行く事にした。

     

     事前に☎して空席状況を確認、空いていますよ〜みたいなのんびりとした

    返事、大丈夫かいな?といささか不安になったけど、当日席はあり、一番前の

    5000円にする。舞台向かって右側だ。ここならチェロやコントラバスの真ん前、

    たっぷりと低音聴けるだろ、の思いと裏腹に団員が登壇すると目の前は第二

    バイオリンとそのまた右にトロンボーン3本とトランペットが二本、金管の

    音がやけに聴こえてバランス悪いことこの上もない。まいったな〜。でも

    決めたのはオレ様だしな、文句言って詮方なきこと。

     

     さらに照明があった。ふだん地下で聴く時は照明暗いんですよ。それが

    演奏会となればけっこうな明るさの中で演奏は進むわけだ。なんか恥ずかしい

    って感じ。演奏を聴くのに恥ずかしがる必要もない、それって変じゃない、

    と思われるかもしれないけど、アタイは恥ずかしい気持ちなんだからしかた

    ない。その感じは、SEXと似てる。日本人の多くは暗い中でSEXするのと

    違いますか? くらべて外人は明るい中でも平気でSEX。古い人間なアタイ

    だからそう思うのかもしれないけど。演奏している舞台を見ていると、

    まるでSEXを観覧しているような気持ちになって、最後まで奇妙な違和感が

    拭いされないんだ。困ったもんです。

     

     コンサートそのものは良かったですよ。全部知ってる曲ばかりだし、

    なんたって生演奏だからさ、ノイズ皆無(当たり前だ)、自然で雄大な

    低音、ストリングスの美高音に聴き惚れる。天才・モーツァルトの♬一つ

    一つが心に沁み入る。第一第二バイオリンの微妙なハーモニー、オーボエ

    とクラリネットの共演素晴らしく、まさにウットリとはこのことだ。

    やっぱし、え〜でんな〜、モーツァルトは。

     さらにこんなこともわかったような気がしたんだ。

     

     レクイエムは第二楽章の途中までがモーツァルトの作曲で、それ以降は

    誰かが代わりに作曲したんだ。なんたって書きながら死んじゃったからね。

    作曲なんかしたことないし出来ないから、あくまでも私なりの仮説でしか

    ないけどさ、作曲するときに始めの曲から少しずつ書き進めるなんてこと

    ないと思うの。私がデザインするときだって、いろんなアイデアが断片的

    に浮かんで、それらをまとめつつ最終的なかたちに仕上げるからさ。

    天才モーツァルトはどんな過程を経て曲を完成するのかわからない。

    ひょっとして曲ぜんぶ一気にイメージ出来ちゃうのかもね。でも、もし

    そうだとして浮かんだイメージを一気に書き留めることなんかできや

    しません。少しずつ書き進めるしかない。なんたって思い浮かぶのは

    一瞬だろうけど、それを書き留める手が追いつかないもんな。

     

     ってことはですよ、思い浮かんだ曲全部の一部分だけでもメモする

    のが当たり前なんじゃないかな。レクイエムは全部で13曲だ。これ全部

    が一気にイメージされるのかもしれないし、断片的なメロディが無数に

    浮かんでくるのかもしれません。どちらにしろ13曲全部のメロディや

    楽器編成なんかを一気にイメージして、一音一符忘れることなく最初

    から粛々と書き進めることなんか出来るのかね? いくら天才でも

    そんなことは出来ないだろう。

     

     ってことはですよ、断片的なメロディの膨大なメモがあって、死んだ

    のちに誰かがそれを元にして書き継ぐことは想像に難くない。メロディ

    は始めの部分もあるだろうし、途中も、最後もあるだろう。アイデア

    ってのはバラバラで、順序よくなんてことはあり得ません。手掛かりに

    なるメロディの断片さえあれば、そこそこの能力であれば書き続ける

    ことは出来るでしょう。一番の問題は魅力的な旋律や楽器編成の種

    としてのアイデアが生み出せるかどうかにかかっているのと違いまっか? 

    小さなヒントがもっとも大切で、生み出すのがムズカシイもんだと

    アタイは思うんだ。

     

     で、レクイエムを聴いてたら、ここは違うだろ、この部分は

    モーツァルトが書いたんだろ、聴きながらわかったような気になった

    んだ。あくまでも「わかったような」って感じだけどネ。だって

    曲の初めは魅力的な旋律だけど途中から飽きちゃうみたいになった

    ものもあったし。あのモーツァルトがこんなどうってことない旋律

    書くわきゃない、でも時に突然魅力的な旋律が出て来たりする、こりゃ

    一体どうしたわけ? って思ってしまうこと多々でね。今まで散々聴き

    続けたレクイエムだけど、薄々感じてたことを改めて明白に理解できた

    (あくまでもわかったような感じでしかないけど)ことは、今回

    の演奏会で得たステキなことだったんだわさ。

     

     しかし聴くうちに眠くなってくるんだ。曲はいい、楽器の音色もいい、

    なんで眠くなるんだ? 編成が大掛かりすぎなのか? あるいは指揮者の

    せいなのか? といってもこちとら素人だから、偉そうなことな〜んも

    言えないんだけど。

     

     訝しい気持ちを抱えながら帰宅。今、コーヒーを飲みながらレクイエムを

    聴き続けることすでに四回なアタイ、演奏はクリストファー・ホグウッド指揮、

    エンシェント室内管弦楽団&合唱団。ふ〜む、アタイやっぱこっちのほうが

    いいや。なんたって歯切れがいいもんな。ソプラノは愛するエマ・カークビー

    だしね。しかもですよ、舞台に向かって真ん中真っ正面の音を聴けることは、

    バランスだっていいに決まってる。そりゃ生演奏と比べればアタイのチン恋

    オーディオなんて比べようもない音だけど、そいでも地下で聴くほうがいい

    なぁ。

     

     昔、グレン・グールドが演奏会を嫌って録音に専念したことがアタマから

    離れない。五味康祐氏だって生演奏を信奉する風潮に異論を唱えたことも

    あった。生演奏をできるだけ忠実に再現するのがオーディオ(それがHifi)

    だと言う人もいた。そりゃ確かにそうだけど、だからといって家で聴く

    音楽よりも生で聴くほうが上位に来ることを金科玉条のごとく崇め奉る

    ことに些かならず疑問のココロなのだ。演奏会場で一番いい席で聴ける

    チャンスはそうそうないだろうし、演奏にミスは付きものだろう。そう

    考えるとグレン君五味ちゃんの考えに大きな共感を抱くことになる。

     

     趣味趣味の世界だから、他人の嗜好や志向を否定する気はまったく

    ありません。だから、アタイの考えを否定する方がいることは当たり前。

    今回の小さな経験でわかったことは、アタイのオーディオの価値の再認識。

    家でいつでも聴ける、録音の良否はあるだろうけど、座席は最良だし、

    好きな演奏者を次々と切り替えることも可、そんな当たり前なことが

    わかっただけでも幸多かれだ。

     

    価値は比べてこそわかることも多いだろうて・・・な、店主でした。

     


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