両刀使いは妖刀にあらず

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     頼まれていた茶箱の脚を作っているのです。これがなかなか曲者、やり始めたら大した
    ことではないんだけど、やり始めるのが遅い。腰が重すぎてどうにもならん。先日、妙齢な
    美女のお客様が一枚の写真をお持ちになって

     こんな感じの脚をつくっていただけないかしら? と。うーむ、なんか大変そうだ。
    刃物が4種類しかないから、小さな丸のとこが・・・・・出来んのかしら?? でも、
    相手はなにもわからないオボコい美女だし、やる前から否定的なことを言っちゃあ
    沽券にかかわる。写真から寸法を起こしてザックリ図面を描いてみる。


     こんな感じかい。相変わらず昔のイラストレーターしか使えない。


     それを実際の木のサイズに合わせて左右を縮小。こんなもんだろう


     さらに、この美女、高さ8センチと4センチの2種類が欲しいとのお申し付け。
    真ん中で切って2種類の図面を描く。


     とにかく作ってみた。やはり小さな丸が図面通りにはゆかない。刃物が入らない
    し、刃物の先端が大きすぎて丸くはならんのよ。でも、これに合う刃物を買う気は
    ない。かなりの種類があるし、種類が多くなると研ぐのも大変だ。むやみに種類を
    増やすよりは、今の刃物で出来る範囲でやっていった方が私に合ってるだろう。

     しかもですよ、こんな写真から実物を作れる人なんかいるの? ということも
    あるし。いや、いるだろうけどさ、それにはお金がかかるでしょ。図面を書くの
    だって試作を作るのだって時間や知識や技術がいるでしょ。そこいくって〜と、
    なんたって年金がバックに控えてるアタイは実際の商品のお代しかいただかない
    ということができる。図面や試作のお金は一切いただくことはない。試作を作れば
    こっちには技術のノウハウが身に付くし、モノ作りの世界なんかなんにも知らない
    妙齢のお客様は代金数千円なんていったら仰け反っちまうだろう。ひょっとしたら
    数万円というところもありそうな気がするけど。

     中学生の時にデザインが面白そうだと思って、ここまで来た。手を動かしてなにか
    作るのは好きだし。でも、一向に作るだけのことには気が向かないで考える方にも
    ふらふらと足を踏み入れて、どっちつかずになって幾星霜。スペシャリストになり
    たいと思うけど、あっちの方が甘そうだこっちのほうがオモロイみたいだと、放浪の
    旅を続けての、今。極小の工房を持ち、それなりの知識やら工夫やらも身に付き、
    考えてみればこうなったワケだ。こうしたかったんじゃなく、こうなってしまった。
    突き動かすなにかがあれば作る側一本で行ったんだろうけど、そうならなかった
    (なれなかった)のは、突き動かすなにかがなかったからに他ならない。そう思えば
    覚悟も決まり今の環境をすんなり受け入れることが出来るってもんだ。

     狭い世界だけどいろんなデザイン関係者が集う学校でも、考える側と作る側に二分
    される講師は多い。工芸の世界では両刀遣いはフツウだけど、デザインの世界では
    あまり見当たらない。じゃ、そのデザインの世界って奴は一体どげなもん? という
    問いは残るけど。ま、あくまでも私感だけど。考える側はあ〜したらとかこ〜したら
    と言うけどさ、いざ作る段になればうまくゆかないかもしれない。作る側にしてみれば
    コンセプトやイメージといった抽象的なことを形に具体化することが苦手。職種が
    増えれば分業化が進めばそれぞれの能力は向上するかも知れないけど、それを合わせる
    こと息の合う相手を見つけることはなかなかムズカシイ。そんならいっそのこと一人
    の中に両方があれば無駄も少ない。もちろん、数人の話し合いでの成果はスバラシイ
    もんだし、一人両刀遣いは限界もあるだろう。そんなことァわかっとる。わかった上で
    こうなってしまった私は納得するんだ。

     またも話しが逸れてしまった。


     2分割したモノも出来た。でも、合体したものと微妙に異なる。刃物の入り具合が
    違うからどうしても同じものは出来にくいの。でも試作であんまり丁寧なものを作って
    しまうと後が大変だから、そこそこで止めておく。これでダメならしかたない。


     同時に他の脚もこの通り。


     上に付いてるヘンテコなものは取っ手だ。これがないと塗装するときにやりにくくて
    困る。ネジの永井さんでおせ〜てもらって、大変使い勝手が良いのでありまする。

    チビた両刀だけど、とにかくこれでやってゆこう・・・・・・・・な、店主でした。

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